担任1年目×メンタルケア|「逃げたい夜」に読んでほしい記事

教育

教室を出た帰り道。
電車の窓に映る自分の顔が、いつにも増して疲れて見えた日がありました。

「もう、無理かもしれない」

担任1年目。
子どもたちの前では笑っていたけれど、家に帰ると涙が止まらなかった夜もありました。

  • 理想と現実のギャップ
  • 失敗への恐れ
  • 誰にも相談できない孤独感

「逃げたい」って思う自分が、弱い気がして言えなかった。
でも今なら言えます。
あのとき逃げたかったのは、子どもを大切に思っているからこそだったと。

この記事では、担任1年目で感じた心のしんどさと、その乗り越え方を、私自身の体験を交えてお伝えします。

もし今、心がつらくて「ちょっと立ち止まりたい」と思っている方がいたら、
そんなあなたに、そっと届いてほしい言葉を綴りました。

1年目の私は、常にちゃんとした先生でいようとしていた

担任1年目の私は、毎日「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い立てるように働いていました。

授業ではミスをしないように、連絡帳の字は一文字も間違えないように、休み時間も笑顔で子どもたちに声をかける。
少しでも抜けや間違いがあれば、「先生失格」と言われるんじゃないかと怖かったのです。

そんなふうに、自分の中の“理想の先生像”を演じ続けていました。
本当は疲れていても、弱音は飲み込み、いつも笑顔で元気なふりをする。
「できない」や「わからない」を言えないのは、子どもたちのためではなく、
“弱い自分”を見せたくなかったからかもしれません。

でも、完璧を装う日々は、思った以上に心をすり減らしていきます。
ミスを恐れて挑戦できなくなったり、少しの失敗で自己嫌悪に陥ったり…。
「ちゃんとした先生でいなければ」という思いは、いつしか
「ありのままの自分じゃダメなんだ」という否定に変わっていました。

今振り返れば、子どもたちが求めていたのは“完璧な先生”ではなく、
一緒に悩んだり、笑ったり、時には失敗もする“人としての先生”だったのだと思います。

それに気づくまでに、ずいぶん時間がかかりました。

逃げたい夜に私を支えてくれた言葉

あの頃、夜になるのが怖かった。

家に帰って部屋の電気をつけても、心の中の暗さは消えない。
スマホを眺めていても、SNSの明るい世界が遠く感じられる。
そんな夜にふと、「このまま全部から逃げてしまいたい」と思ったことが何度もありました。

でも、あるとき手に取った本が、私の心を少しずつほどいてくれました。
古賀 史健さんの『さみしい夜にはペンを持て』です。

その中にあった、「弱音を吐いてもいい」という一文が、胸の奥にすっと落ちました。

それまで私は、「弱音=甘え」だと思っていました。
先生という立場だから、子どもの前でしっかりしていなきゃいけない。
同僚や保護者にも、弱い部分は見せちゃいけない。
そうやって、自分を締めつける言葉を自分に浴びせ続けてきました。

でも、この本は教えてくれたんです。
弱音は、心を守るための“逃げ道”でもあること。
苦しいときに「苦しい」と言えることは、恥ではなく、生き延びるための力なんだということ。

ページをめくるたび、張り詰めていた心が少しずつ緩んでいきました。
涙がぽろぽろ落ちた夜もあったけれど、その涙は不思議と、少し温かかったのを覚えています。

もし今、あなたが同じように「逃げたい夜」を過ごしているなら、
この本をそっと手元に置いてみてほしいです。
きっと、あなたの中の固くなった気持ちを、少しずつほぐしてくれるはずです。

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私が少しずつ回復できた理由

正直に言うと、劇的に一晩で元気になったわけじゃありません。

回復は、本当にゆっくりで、時には一歩進んで二歩下がることもありました。

でも、少しずつ、呼吸がしやすくなっていったのには理由があります。

「全部完璧」をやめた

1年目の私は、授業も、連絡帳も、掲示物も…すべて完璧でなければならないと思っていました。

でも、ある日「今日はこれだけでいいや」と小さく区切ってみたら、肩の荷がふっと軽くなったんです。
全部を完璧にしなくても、子どもたちはちゃんと笑ってくれるし、授業も回る。

それに気づいてから、毎日のプレッシャーが少しずつ減っていきました。

誰かに気持ちを話すようにした

最初は勇気がいりましたが、同僚の先生や友人に「しんどい」と口に出せるようになったことで、心の中の圧力が抜けていきました。

相談と言えるほど立派な形じゃなくても、「今日疲れた〜」とつぶやくだけで、安心感が生まれました。

“小さな楽しみ”を毎日に入れた

帰りにコンビニで好きなスイーツを買う。
家でお気に入りの音楽を流しながらお茶を飲む。
そんなほんの数分の時間でも、「今日はこれを楽しみに頑張ろう」と思える小さな灯りになりました。

こうした小さな行動の積み重ねが、私を少しずつ回復へと導いてくれました。
気持ちが沈むときほど、特別なことじゃなくていい。
日々の中に“自分を守るための習慣”を置いてあげることが、なによりのメンタルケアなんだと思います。

まとめ|逃げたい夜を乗り越えた先に見えた景色

あの頃の私は、毎日が「今日をどう乗り切るか」で精一杯でした。
逃げたい夜は何度もあって、そのたびに自分を責めていました。

でも、完璧をやめて、人に話して、小さな楽しみを持つようになってから、
少しずつですが、景色が変わってきたんです。

子どもの笑顔を、前よりも素直に「うれしい」と思えるようになった。
失敗も、「次に活かせること」として受け止められるようになった。
そして何より、自分のことを「弱い」じゃなく、「ちゃんと頑張ってる」と認められるようになりました。

逃げたい夜は、決して特別なものじゃありません。
それは、自分が本気で向き合っている証拠でもあります。
だから、もし今、立ち止まりたい気持ちでいっぱいなら、
少し休んで、息を整えて、それからまた歩き出せばいい。

夜が明ければ、必ず新しい一日が始まります。
そしてその一日は、あなたが思っているより、きっと優しいはずです。

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